声優を目指す初心者にオススメな5つの練習【独学でも基礎力アップ】

声優を目指す初心者にオススメな5つの練習【独学でも基礎力アップ】 基本の練習
この記事を書いた人
chikamichi(ちかみち)

【自己紹介】
・現役声優(活動歴10年ほど)
・普段はサブカル好きの男性
【実績】
・アニメ(テレビ、映画)
・外画吹替
・ナレーション(番組ナレ、CM)
・ゲームボイス
・朗読、ラジオドラマなど
声優志望者や演技初心者に向けて、自分の体験に基づいた情報を発信しています。

\ FOLLOW /
こういった悩みを持つ方向け
  • 声優になりたいけど、どんな練習をすればいい?
  • どれくらいの頻度で練習はやるべき?
  • 練習時に意識すべきことが知りたい

声優になるための勉強を始めようと思ったけど、はじめに何をすべきなのかイマイチ分からないという方は多いと思います。

僕は声優歴10年以上の男性声優chikamichiです!

僕自身、今までに声優に役立つ練習をいくつも試してきました。

しかし、中には自分に合わない練習だったり、効果を感じられない練習もありました。

とくに声優の勉強を始めたてのころは、高度な内容のものを取り扱っても、理解が追い付かない場合が多々あります。

そこでこの記事では、僕自身の経験から厳選した「初心者でも迷わずに始められるオススメ練習」や「練習をするうえで意識すべきポイント」をまとめて解説します。

本記事で紹介する内容
  • 初心者向けのオススメ練習を5つ紹介
  • 初心者向けの練習は身につくまで毎日継続するのがベスト
  • 録音することで客観的に現状を把握しよう
  • 練習内容が何に効果があるのか意識しながら練習する

この記事を読めば、初心者の方でも安心して、独学で練習することができます。

声優になるための10の方法

マイクを手に入れよう
実は養成所ではマイク関連のレッスンがほぼありません。なので声優志望さんは1万円台でよいので自主練用のマイクを持っておきましょう。普段からマイクを使って練習しておけば、自分の声の特徴(マイク乗りなど)を早くから知れます。オススメなのはAudio TechnicaのAT2020。安価ながらも性能が良く、初めてのマイクに向いています。

初心者向けのオススメ練習を5つ紹介

スキーをする子供

今回紹介する練習メニューのほとんどが、専門学校や養成所でも取り入れられている基礎的な練習からピックアップしました。

なので、専門学校や養成所のホームページ、このブログのような「声優になるための情報」をまとめたサイトなどでは、だいたい同じような練習メニューが紹介されています。

それだけメジャーで、効果がある練習だといえますが、紹介されている練習をみんなが言っているから間違いない」と言われた通りにやっているだけでは、あまり効果的ではありません。

僕自身も声優の勉強を始めた頃は、練習を毎日欠かさずにやっていましたが、漠然と「練習を続ければ上手くなるんだろうな」程度にしか考えていませんでした。

しかし、練習の効果がイメージできないと練習効率は上がらないし、モチベーションも上がりにくくなってしまいます。

最悪の場合、効果が現れず、練習することが苦になってやめてしまうこともありえるでしょう。

スポーツの世界でもよく言われますが、その練習が何の能力を向上させるためにおこなっているのかをきちんと把握することで、練習効率は上昇します

練習の効果を感じられれば、楽しく練習を継続することも可能です。

なので、この記事では初心者向けのオススメ練習が「どういった能力の向上に役立つのか?」まで、深掘りして解説していきます。

①腹式呼吸

声優の練習で一番に言われるのが腹式呼吸でしょう。
「声優といえば腹式呼吸」といったレベルで言われていますよね。

腹式呼吸を習得することで肺活量が増えて一息で言える量が増えたり、厚みのある声にすることができると言われています。

しかし、腹式呼吸を習得すること自体はそんなに難しいことではありません。
正直3日もあれば誰でもできるようになるはずです。


なぜなら、腹式呼吸はあくまで発声法のテクニックの一つであって、その中でもかなり初歩的なものだからです。

「一息で言える量を増やすための練習」や「厚みのある声にする練習」に腹式呼吸は必須ですし、練習難度も高いですが、腹式呼吸を習得すること自体はとても簡単です。

なので、「腹式呼吸を習得したから声優になれる」とか、「腹式呼吸を習得したからスゴイ」といったことはありません。

結構、初心者の方は勘違いしている方が多いですね。

そんな腹式呼吸ですが、そもそもお腹で呼吸しているわけではありません。

肺の下に位置する横隔膜を下げて、肺を下方向にも膨らませることで、肺にためる空気を最大限まで増やしているのが腹式呼吸と呼ばれる呼吸法です。

その様子を外からみていると、呼吸するたびにお腹が出たり、引っ込んだりするので、まるでお腹で呼吸しているように錯覚しますが、それは横隔膜の上下運動のせいです。

なので、「腹式呼吸はお腹を意識して」というアドバイスは正しいイメージではありません。

正しい腹式呼吸イメージ
  • 正しいイメージ:肺が下に広がっていく・伸びていくイメージ
  • 間違ったイメージ:お腹に空気をためるイメージ

鼻からゆっくりと息をすいこみ、吐くときもゆっくりと口から出すことを意識することで腹式呼吸のコツが理解しやすいです。

腹式呼吸にする理由は、一息で扱える空気の量を増やすためですから、肺にたっぷりと空気をためるイメージを持ちながら練習してみてください。

腹式呼吸の感覚に慣れないうちは、ベッドなどに寝た体勢で行うのをオススメします。

なぜなら、あおむけに寝て呼吸をすると自然と腹式呼吸ができるからです。

そもそも人間は起きているときは胸式呼吸(一般的な呼吸法)で、寝ているときは腹式呼吸を無意識におこなっています。

なので、よっぽどのことがない限り、寝た体勢で呼吸をすれば、腹式呼吸の感覚がつかめると思います。

寝た体勢で腹式呼吸ができたら、次に座った体勢で練習を行い、最終的には立った体勢で腹式呼吸ができるようにしましょう。

腹式呼吸のことが詳しく知りたい方向けに別記事があります。

②滑舌

「滑舌の良さ」は声優に必須なスキルの一つです。

滑舌が悪いと何を言っているのか、聞いている側に伝わらないことになります。
これは声を扱う仕事をする上で一番最悪なことです。


どれだけ演技が上手くても、滑舌が悪いだけで全てが台無しになってしまいます。

なので、滑舌は絶対に練習して鍛えましょう。

滑舌の練習をするときに意識するポイントは、「口周りの筋肉」です。

そもそも、滑舌が悪くなってしまうのは「口の開きが小さいこと」と「舌の筋肉が衰えていること」がほとんどの原因になります。

心理的プレッシャーから早口になって、滑舌が悪くなる場合もありますが、その場合も早口のせいで口の開きと舌の動きが中途半端になってしまっているからです。

これを改善するには、練習のときに50音の正しい口の形を意識して、一音ずつしっかりと確認しながら発音することが効果的です。

練習内容としては、用意した文章を母音(あ・い・う・え・お)だけで発音する練習や「生麦生米生卵」などの早口言葉を滑舌を意識して発音する練習をオススメします。

  • 母音変換練習:
    • せいゆうへのちかみち→えいううえおいあいい
    • ぼいんをいしきできる→おいんおいいいえいう
  • 早口言葉:「生麦生米生卵」を早く言わずに、一音ずつしっかりと発音することが大事

どちらの練習にしても、さらさらと流れるように言わずに、ゆっくりでもいいので口の形を意識して発音しましょう。

練習をして口周りの筋肉が痛くなってきたら、練習が効いている証拠です。

滑舌のことが詳しく知りたい方向けに別記事があります。

③アクセント(イントネーション)

声優をやる上で避けて通れないのがアクセントです。

関東育ちの方などは、もともと標準語が話せるのでアクセントに悩むことは少ないですが、地方出身者からすると、とても大きな困難の一つでしょう。

アクセントの練習は基本的に一人でやらない方がよいです。

なぜなら、標準語・正しいアクセントが分からない状態で一人で練習しても、そのアクセントが正しいかの判断が自分自身でチェックできないからです。

地方出身者あるあるですが、自分の中に標準語の判断基準と方言の判断基準の二つがあって、頭の中で「今のアクセントは大丈夫だよ!」と判断したのが、標準語でオーケーなのか、方言でオーケーなのか判別できないんですよね。

一人でアクセント習得をする場合は最低でもアクセント辞典は手元に置いておきましょう。

アクセント辞典のことなど、詳しいアクセント攻略法は別記事で紹介しています。
僕自身も地方出身でアクセントには困らされたので、そのときに標準語を習得した方法をまとめました。

④表情筋

表情筋とは目や口、鼻などを動かすための筋肉のことです。
顔には30以上の表情筋が存在していて、その筋肉のおかげで複雑な表情を作ることができています。

この表情筋が声優と何の関係があるのかというと、発声するときに表情筋が衰えていると、適切な口の形にすることができず、発音が不明瞭になってしまいます。

つまり、滑舌の部分で説明した「口の開きが小さいこと」の原因の一つが表情筋の衰えなのです。

現代人は特に表情筋を普段から使っていないらしく、表情が乏しいと言われています。
話すときに腹話術みたいに、あまり口が動かない話し方をしている方は表情筋が衰えていると判断してよいでしょう。


そのままだと、滑舌が不明瞭になりやすい状態ですし、声優の演技をするときにも感情を表に出しにくい状態になってしまっています。

これを改善するには、鏡の前で自分の顔の表情を確認する練習をしましょう。

はじめに鏡で顔を確認しながら、限界まで口を大きく広げましょう。カバをイメージして大きく口を開けてください。

変顔が恥ずかしいなら、自分の部屋など誰にも見られない場所で練習しましょう。
ぶっちゃけ、人に見せられないような顔になってしまいます。

しかし、効果絶大ですので投げ出さずにやっていただきたいです。

普段から、表情筋を使っていない方は口周りが痛くなってくると思います。

毎日続けていると、次第に表情筋が鍛えられて痛みが薄くなっていくので、練習成果の目安にしてください。

表情筋を鍛える練習をまとめました。

表情筋を鍛える練習
  • 口を限界まで大きく開く(カバのイメージ)
  • 口を限界まですぼめる(すっぱい顔のイメージ)
  • 目を限界まで見開く
  • 目を限界までギュッと閉じる
  • 顔全体を中心に寄せる(鼻に目や口、頬を近づけるイメージ)
  • 顔全体を外側に逃がす(目や口、頬を鼻から遠ざけるイメージ)


これらの表情を作ってから、5秒~10秒ほど表情をキープしましょう。

ポイントは必ず鏡で自分の顔をチェックすることです。

鏡を見ていないと口を限界まで広げているつもりでも、実際に鏡で確認するとたいして開いていないことが多いです。

表情筋の練習に鏡は必須です。手鏡なら場所も取らずに便利ですよ。

綺麗な発声や滑舌にとても効果があるので、この練習は毎日欠かさずに行うのをオススメします。
僕的には優先度の高い練習だと思っています。

⑤筋トレ

声優の練習として筋トレは有効だと僕は思っています。

しかし、筋トレをしても声に効果がないという意見もあります。

僕自身も声優の勉強を始めた頃は筋トレをする意味はないと思っていました。

例えば「腹筋を鍛えること」が発声などに役立つなら、ボディービルダーやアスリートはもれなく全員が素晴らしい声の持ち主であるはずだという考えをもっていたからです。

実際に声に特別に魅力を感じないアスリートはたくさんいますよね。
これは一般社会でも同じで、良い声の方もいれば、普通の声の方もいる。

つまり、「身体を鍛えている方」が「発声が良い要素」を必ず持ち合わせているわけではないということです。

だからこそ、ボーカル界隈や声優界隈では筋トレに懐疑的な意見も多いです。

ただ、現時点で僕は声優に筋トレは必要だという考えを持っています。

なぜなら、筋トレが声に直接作用するかは正直判断できませんが、演技面・体力面には効果があると考えているからです。

実際に、僕は腹筋や背筋を鍛えることで声の持久力や演技する上での体力が増えました。

筋トレの中でも、腹筋や背中、胸、腰回りなどの胴体部分、いわゆる「体幹」と呼ばれているものを鍛えることは声優にとってメリットがあることなのです。

たとえば、体幹を鍛えることで、姿勢が良くなったり、疲れがたまりにくい状態、息切れしにくい状態になることができます。

なので、声優に筋トレは必要ないという意見もありますが、僕は体幹を鍛えるための腹筋や背筋の筋トレを強くオススメしています。

必要ないという意見を聞いてしまうと途端にやる気が起きなくなりがちですが、適度な筋トレはかなり重要な練習です。

僕自身も、腹筋と背筋は毎日欠かさずにおこなっています。

しかし、身体の鍛えすぎ(ボディービルダーレベル)は筋肉が発声に干渉してきて悪影響が出ると言われているので、もともと身体を鍛えるのが好きといった方などはその点にご注意ください。

初心者向けの練習は身につくまで毎日継続するのがベスト

カレンダー

練習はできることなら基本的に毎日継続するのをオススメしています。

発声というのは一種の筋トレです。
ある程度の使える筋量まで上げてあげないと、なかなか体感で上達したと思うことはできません。


しかし筋トレが毎日継続しないと筋量がすぐに落ちてしまうように、発声に使う声帯や舌の筋肉、表情筋も練習頻度の間隔が長いと、その間にせっかく鍛えた筋量が落ちてしまいます。

これを対策するために毎日練習することをオススメしていますが、それが厳しい方は二日に一回や、週の火・木・土に練習するなど、練習期間のリズムを設定しましょう。

不定期に練習をしても、練習効率はあまり良くありません。
もちろん、何もしないよりはマシですが、初心者のうちは練習のコツもつかめていないので、ただやっているだけになりがちです。


練習のコツがつかめるまでは定期的に練習することをオススメします。

録音することで客観的に現状を把握しよう

レコーディングスタジオ

滑舌練習や発声、アクセントなどの練習は定期的に録音して、自分の現在の状況を把握しましょう。

これは声優の練習をやり続けるガッツがある方は必ず実践してください。

「実際に声を出しているときの主観」と「後で録音したものを聞く客観」では確実に差があります。

この誤差を認識せずに練習を続けると、よく分からない方向にグングンと進んでいってしまいます。

それが変なクセの原因になることもあるので、発声する練習のときは必ず録音する習慣をつけましょう。

ぶっちゃけ、録音した自分の声を聞くのは結構苦痛だし、退屈な作業なのですが、とても大切なことなのでサボらずにおこなってください。

録音した自分の声を聞くことがなぜ大事なのかを別記事で詳しく解説しています。
録音した自分の声が苦手という方にもオススメの内容です。

» 関連記事:なぜ録音した自分の声は気持ち悪いのか?

練習内容が何に効果があるのか意識しながら練習する

サッカーの練習風景

はじめの方でも書きましたが、実践している練習がなんのためにやっているのかをきちんとイメージしてください。

毎日練習を続けるのは本当に偉いことなのですが、この練習を1か月、半年、1年と続けたら、きっと上手くなっているみたいな漠然とした気持ちで練習をするのは止めましょう。

もちろん、毎日練習をすることで能力は伸びると思います。
しかし能力の伸びは、なんのために練習しているかを具体的にイメージしている場合と比べると悪くなってしまいます。

なぜなら、目標が明確な人はそこに向かうために微調整ができますが、目標が漠然としている人はそもそも調整ができずにその分だけ練習効率が下がってしまうのです。

せっかく、毎日練習を続けるガッツがあるのに、そんな結果だともったいないですよね。

なので、滑舌の練習なら「滑舌を良くして、自分の表現をよりクリアに伝えるため」と明確な目標を持ちましょう。

そうすることで、「自分の現在の声がクリアに聞こえているのか?」などと立ち返って考えるタイミングが増えます。

それを繰り返すことで、目標に到達するための微調整が自然とできるようになります。

まとめ

山にいる女性

声優を目指す初心者にオススメの練習を紹介しました。

今回まとめた練習は演技と直接的に関係しないものばかりです。

声優の練習というと、どうしても楽しい「セリフ読み」や「アフレコ」などをやりがちですが、こういった基礎的な能力を上げる練習は絶対に必要です。

厳しいことをいうと、楽しいことだけをやって声優にはなれません。

日々努力することで、周りの声優志望者たちとの間に差が生まれていきます。

1日30分からでも良いので、ぜひ頑張ってみてください。

確実にあなたの声優になりたいという夢に近づけますよ。