演技への理解を深めると演技力は伸びる!【効率の悪い練習から卒業】

演技への理解を深めると演技力は伸びる!【効率の悪い練習から卒業】 演技法
この記事を書いた人
chikamichi(ちかみち)

【自己紹介】
・現役声優(活動歴10年ほど)
・普段はサブカル好きの男性
【実績】
・アニメ(テレビ、映画)
・外画吹替
・ナレーション(番組ナレ、CM)
・ゲームボイス
・朗読、ラジオドラマなど
声優志望者や演技初心者に向けて、自分の体験に基づいた情報を発信しています。

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こういった悩みを持つ方向け
  • 演技の練習をたくさんやっているのに上達しない
  • 実践している練習メニューが本当に正しいのか判断がつかない
  • 演技力を伸ばす方法を詳しく知りたい

声優志望の方が練習を続けても演技が上手くならないと悩むケースは非常に多いです。

chikamichi
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この記事を書いている、声優のchikamichiと申します!

僕自身も、声優を目指し始めたころは「演技力を上げたい」と色々なことに手を出しましたが、なかなか効果を実感できずにいました。

その原因は「演技」や「演じること」についてよく考えずに、セリフ読みなどの練習を続けていたからです。

根本的な理解を放置したまま練習をいくら続けても、演技が上手くなる土台はできあがりません。

僕自身、「演技とは何か?」と考えるようになってから、明確に演技力が伸びたことを覚えています。

そこでこの記事では、演技力向上に「演技への理解」が必要な理由や初心者がやめるべき効率の悪い練習方法をまとめて解説します。

本記事で紹介する内容
  • 演技力を上げたいなら、まずは「演技に詳しくなること」
  • セリフ読みの練習からスタートするのをオススメしないワケ
  • 理解を深めるために「演技とは何か?」と考えてみる

この記事を読めば、演技力がなかなか伸びないと悩んでいる方も演技力を伸ばすための手順が全て分かります。

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声優志望さんにマイクは必須。実は養成所などではマイクの扱いに関するレッスンがほぼなく、自分で扱いに慣れておく必要があるんです。1万円台のマイクでよいので自主練用のマイクがあると捗ります。また、自主練用マイクがあれば、自分の声の特徴(マイク乗りなど)を早くから知ることもできます。オススメはAudio TechnicaのAT2020。安価ながらも性能が良く、はじめてのマイクにぴったりです。

演技力を上げたいなら、まずは「演技に詳しくなること」

虫眼鏡で詳細に調べている図

演技力を上げるためには、まず「演技」という行為に詳しくなる必要があります。

なぜなら、自分の中でよく理解していないことを上手く再現することはできないからです。

それなのに「セリフ読みなどの練習をがむしゃらに続けていれば、いつか演技が上達するだろう!」なんて考えていませんか?

理解を深めることを放置したまま、実践的な練習をいくら重ねても効果はほとんどありません。

効率よく成長するためには、まず理解することから始める

これは演技以外のことを習得する際にも共通する考え方です。ただし、この考え方を「演技力の向上」に直接当てはめても、あまりピンとこないかもしれません。

なので、例として車を上手に運転するための手順で考えてみます。

自動車の運転で考えてみる

  • OKな手順
    ①まずは交通ルールや運転技能を学習
    実際に車を運転してみる
  • NGな手順
    ①とりあえず運転してみる
    ひたすら車を走らせて反復練習

NGの例は非常に効率が悪いです。

とりあえず運転してみるでは上手くなるために参考にするものが全くなく、独力だけでトライ&エラーを繰り返さなければいけません。

しかも、ゴールまでの道筋を立てることもむずかしいので、気づかないうちにわき道にそれて、自分の望んだ結果に一向にたどり着かないなんて状況に陥ってしまうのです。

これが交通ルールや運転技能を先に習う場合であれば、それらの知識に沿って今回は安全確認を怠らないことを意識しようなどと段階的に上達することが可能になります。

理解を深めることで「ステップアップするための道筋や方向性」も定まるので、効率の悪い練習や間違った演技のやり方などを選ばないようにすることもできます。

と運転の例ならば、いきなり運転することが非効率なやり方だと誰でも理解できるはずです(というか説明する前から分かっていた人の方が多いですよね)。

しかし演技のことになると、いきなりセリフ読みから始めることに疑問を感じない人がほとんどです。

これは交通ルールも知らずに、いきなりアクセルを踏みだす行為と全く同じです。

もちろん、アクセルを踏めば車は走りだします。それと同じように、セリフを読めばそれは演技です(幼稚園児のお遊戯会も立派な演技といえますよね)。

しかし、「演技する」と「上手に演技する」は別物です。

上手になるためには「その行為がどういったものか?」と深く理解する必要があります。

この記事を読んでいるあなたも演技という行為が何なのか?としっかりと考えたことがあるか自問自答してみてください。

おそらく考えたことがない人がほとんどでしょう。まあ初心者の9割以上がぼんやりとしたイメージしか持っていないと思います。

そんな状態でセリフを読んでも、それは声優っぽくセリフを言っているだけでしかありません。

そのまま練習を続けても、行き着く先は演技力のある声優ではなく、声優っぽくセリフを言うのが上手な人になるだけです。

せっかく練習をたくさん頑張ったのに、そんな結果で終わってしまうのは嫌ですよね?

これを防ぐためにも、最初に「演技とは?」と考える機会をもつことが重要なのです。

運転も演技も同じで「理解する」から始めることは上達するための絶対条件なんだと覚えておきましょう。

セリフ読みの練習からスタートするのをオススメしないワケ

台本をもっている人たち

演技への理解を深める前にセリフ読み練習をしてしまうと、「声優っぽくセリフを言っているだけになる」といいましたが、それを具体的に説明します。

簡単にいうならば、「声優っぽく言っているだけ」とは形から入る」や「声色を重視する」だけに特化して演じることを指します。

とくに声優志望者は、これらの演じ方をする傾向が非常に高いです。

  • 形から入る演技
    例:二枚目の雰囲気、高貴な雰囲気、癒し系の雰囲気
    役の雰囲気に注力
  • 声色を重視した演技
    例:低音の渋い声、高めの元気系の声
    役の声色に注力

一見すると「形から入る演技も声色を重視した演技も別に悪くないんじゃ?」と感じる人が多いかもしれません。

しかし、これらに注力することは役作りでは意味があっても、

  • 二枚目の雰囲気が出せた=演技力UP
  • 低音の渋い声が出せた=演技力UP

というわけでは決してありません。

実写の役者で例えるなら、

  • スタイルが8頭身
  • 美的センスが抜群に良い
  • 声も雰囲気も洗練されている

といったことは役者の武器にはなりますが、「演技の上手さに直結するか?」と問われると「それは別問題なので分からない」となるのと同じです。

つまり、キャラの雰囲気や声色を追求しても、演技力が直接的に上がることはありません。

それなのに「キャラに合う声色を出せるように頑張っているのに、演技が上手くならない」と悩むのは、

  • 「美容に気を使っているのに、演技が上手くならない」
  • 「ダイエットしているのに、演技が上手くならない」
  • 「清潔な見た目を心がけているのに、演技が上手くならない」

といっているようなもので、役作りには役立ちますが、演技が上手くなる要素とは無関係なので上達しないのは当たり前です。

形や声色先行だと演技力が上がらない

さらに、「形から入る」や「声色重視」の演じ方に慣れてしまうと、

  • 感情がセリフに乗りにくい
  • 棒読みになりがち
  • 演技の幅が狭くなる
  • セリフにメリハリがなくなる

などの状況に陥りやすくなります。

この原因はキャラの雰囲気や声色を追求することを演技力を上げる手段だと勘違いして、そこにしか注意を払えなくなるからです。

結果、雰囲気や声色に一生懸命で、演技自体に注意を向けることができなくなってしまいます。

この状態に陥った人は「役の雰囲気や声色は合っているけど、演技が微妙で総合的にはイマイチ」といった評価を受けます。

プロの現場では演技が微妙なのは致命的です。それにキャラの雰囲気や声色に合った人材は、探せばごまんといます。

キャラに雰囲気や声色を合わせられる能力というのは、あなたが想像するほど珍しいものではなく、大した武器にはならないのです。

また、形から入る演技や声色重視の演技は依存度が高く、一度、雰囲気や声色ありきの演技を覚えてしまうと、クセがついて後から修正することがむずかしくなります。

というのも、キャラの雰囲気や声色を考える行為は「演技をやってる感」を満たしてしまうからです。

「棒読み」や「地声」から「アニメっぽい喋り」や「キャラっぽい喋り」に変化できれば、誰だって演技が上達したと勘違いするのは無理ありません(声優っぽくなった感は満たせるので)。

そして満足感があるので正しいことをしている」と錯覚してしまい、雰囲気や声色をベースに演技することから抜け出せなくなってしまいます。

この負のサイクルが演技の上達を阻害していることを「形から入るクセのある人がセリフにメリハリをつけたい場合」を例に説明します。

①改善したいけど、形から入る演じ方ではメリハリがそもそもつきにくい

②しかしメリハリがつかない理由が形から入る演じ方だと気づくことも初心者にはむずかしい

③原因を自力で割り出せないのでメリハリが一向につかない

④この状態のまま、どんどん形から入る演じ方に傾倒していく

⑤悪癖に気づかずにこの状況から抜け出せなくなる

⑥なんとか原因に気づき、演じ方を変えようにも簡単には変えられない(クセになっている)

⑦演じ方を変えるのに莫大な時間がかかる

⑧いつまでたってもセリフにメリハリがつけられない

二重、三重に壁にぶつかるポイントがあるので、改善するまでにかなりの時間がかかってしまいます。

専門学校や養成所に入学後でも、これらのクセが取れずに困っている人はかなり多いです(クセのせいで演技力が伸びない事実にすら気づかずに悩んでいる人が多い)。

この問題は演技初心者にとって、かなり大きな壁だと考えています。ゆえに演技初心者は「クセがつく前」や「強くなる前」に、形から入るや声色重視の演技をやめるべきです。

形や声色先行の演技に未来はない

「でも、形から入るや声色重視の演じ方も自分には合っていると思うし、とりあえず今のままで伸ばしていきたい」と考える人もいるでしょう。僕自身もそう考えていた時期がありました。

しかし、ぶっちゃけ形から入るや声色重視の演技はすぐに限界が見えてくるので、習得するメリットがほぼありません。

結局は声優っぽいを突き詰めているだけなので「演技をやってる感」に騙されないようにしましょう(形から入る演技という表現を使っていますが、正確には演技ではなくモノマネです)。

この段階を抜け出すことが脱初心者のカギといっても過言ではありません。

なので、まだ本格的に声優の勉強を始めていない人は、いきなりセリフ読みの練習をするのではなく、演技への理解を深めることから始めた方が断然オススメです。

もちろん、既に形から入るや声色重視の演技をやってしまっていた人も、演技への理解を深めることで「演技力向上」の糸口を見つけることができます(クセも直りやすいです)。

現時点で「演技の練習を欠かさずにやっているのに効果があらわれない」と感じている人は、形や声色から入るタイプで、ちょうど限界のタイミングが訪れているのかもしれません。

そこからステップアップするなら、ぜひ演技への理解を深めてください。

回り道のように感じるかもしれませんが、演技への理解がある状態とそうでない状態では演技のクオリティは雲泥の差です。

なので、演技について考える時間は必ず設けるようにしましょう。

理解を深めるために「演技とは何か?」と考えてみる

行き先が分からない女性

「演技への理解」を深めることがとても大切と長々と解説してきましたが、ここからは「結局どうすれば演技への理解を深められるの?そこが知りたい!」といった声にお応えしていきます。

その方法はとてもシンプルで、ズバリ「演技とは何か?」と考えることです。

といっても、「演技とは何か?」だと漠然としていて、考えるのがむずかしいですよね?

なので、もう少し細分化してみると、

  • 役者や声優がやっている演技って、そもそも何なんだろう?
  • 歌手とかアーティストでも、表現力ってワードを使うけど何を指しているの?
  • 演技が上手い役者とかいうけど、何で判断している?

このような疑問について自分なりの答えを見つけるということです。

そうすることで、声優が演じるうえで「何を大事にすべきか?」「何を意識すべきか?」といったことが分かってきます。

しかし細分化したとしても、言葉で説明しようとすると、まだ簡単には答えられないと思います。

それは「演技」という行為を曖昧にしか認識できていないからです。この曖昧な認識が明確になると、演技力は自然と向上していきます。

といっても、大半の方は演技に対して明確な回答を持ち合わせていません。なぜなら、「演技とは何か?」ってめちゃくちゃむずかしい質問だからです。

絶対的なひとつの答えがあるわけではないですし、「演技とは?」と複数の役者に問えば、いろいろな回答が返ってくることは容易に想像できます。

プロの役者でも明確な答えが出せないものを、演技初心者に導き出せというのは無理な話です。

だからといって、これらの疑問を解消せずに演技の勉強を始めても、中身がない形だけの演技になりがち・・。

「じゃあ、演技初心者は結局どうすればいいの?」と問われれば、「演技って、こういうことじゃないか」と仮定して、トライ&エラーを繰り返すことをオススメします。

この方法で重要なのは「演技とは?」の正解を見つけることではなく、正解を見つける途中で何度も迷う過程そのものです。

たとえば「演技とは何か?」と考えて、以下のようなことを思いついたとします。

  • 演技とは感情を表現する行為
  • 演技とはキャッチボール
  • 演技とは第三者に伝えるもの

これらが正しいかは置いておいても、感情を表現する行為キャッチボールだと意識している場合としていない場合では演技の雰囲気は全く変わってきます。

何も考えていないのと、何か足そうとしている状態なのだから当然ですよね。

考えている場合と考えていない場合の具体例を挙げて比較してみます。

  • 演技とは感情表現と意識した場合
    →セリフを読むときに、感情を表現しようという考えが生まれる
  • キャッチボールと意識した場合
    →セリフを読むときに、相手にセリフを投げかける意識が生まれる
  • 意識することがない場合(初心者にありがち)
    →セリフを読むときに意識することがないので、スルスルと読めてしまう。それでは良くないと、キャラの雰囲気や声色のことを考えて補完しようとする

「感情を表現する」や「セリフを投げかける」と意識しても、すぐに上手な演技に繋がるとは思いません。それに演技のリズムが崩れて、もとのやり方よりもやりにくく感じる場合もあるでしょう。

しかし、上手い下手は抜きにしても、演技から感じ取れるものには明確な差が生まれます。

「感情表現は大味だけど、一生懸命に表現しようとしているもの」「キレイに読めているけど、中身がないもの」では圧倒的に前者の方が見る方、聞く方に与えるものは大きいです。

演技初心者の演技がキレイだけど響くものがないと表現されることが多いのは、「演技って、こういうことじゃないか」と仮定して、トライ&エラーすることをしていないからです。

いきなり100点を目指しなさいというわけではありません。それに「演技とは何か?」の絶対の答えを見つけることは実質不可能でしょう。

しかし、0から1にすること、1を2にすることは可能です。とくに初心者の方は、0のまま放置することを絶対にやめるべきです。

すらすらと淀みなく、声優っぽく話せることに価値なんてありません。というか、その状態だと成長の兆しが皆無です。未来がありません。

一時的に自分の芝居が崩れたとしても、絶対に「演技とは?」と考えるべきです。

キツイ言い方ですが、何も意識しない状態の演技はただのモノマネでしかなく、大切に守るようなものではありません。

「演技とは何か?」と考えることで、今まで思いつきもしなかった要素を増やし、演技に深みを与えるキッカケが得られます。

しかも、「演技とは○○なので意識しよう」と他人に言われるよりも、自分で「演技って○○だと思うから意識しよう」と考えた方が、身につく率も高くなります(自分の中で納得できていないものを吸収するってむずかしいですからね)。

ちなみに「トライ&エラー」と説明した通り、実践して「違ったな」と感じたものは演技に取り入れなくて構いません

演技の感覚は個人差があるので、Aさんには合っている考えでも、Bさんには合っていないなんてことはよくあります。だからこそ、「演技とは?」の答えがひとつではないのです。

とにかく、演技初心者はまず「演技って何だろう?」と考えることから始めてみてください。

そうすることで、演技を構成する要素が自然と増えていき、奥深い演技をつくり出せます。

僕の思う「演技とは何か?」の答えのひとつである演技とは感情を表現する行為を掘り下げて紹介した別記事があるので、そちらもよければ参考にしてみてください。