- 声優になりたいけど、訛りが心配
- 方言、訛りを直す方法が知りたい
- なるべく早く標準語をマスターしたい
声優になるうえで、必ず習得しなければいけないのが「標準語」です。
といっても、東京近郊で育った人は物心ついたときから標準語で生活しているので、とくに問題はありません。
標準語習得に悩まされるのは、いつだって地方出身の声優志望者です。
僕は声優歴10年以上の男性声優chikamichiです!
僕自身も関西育ちの地方出身者で、声優の勉強を始めた頃は方言・訛りが全く抜けずに困った記憶があります。
関西にある専門学校で声優の勉強を始めたのですが、当時は雨と飴のアクセントの違いが全く判断できないレベルでした。
これは結構重症で、周りの生徒よりもかなり訛っている状態からのスタートでした。
僕の声優人生第一の壁でしたね・・
結果的に、標準語を完璧に習得するまでに二年半の月日がかかってしまいました。
でも、僕の例は平均的な習得時間よりかなり遅いと思います。
これは標準語を習得するセンスが微塵もなかったことが原因でしょう。
しかし、お伝えしたいのは、センスのなかった僕でも標準語をマスターできたこと。
そして事務所に所属できて、声優として活動できているという事実です。
つまり、ちゃんと勉強すれば、誰でも確実に標準語は習得できます。
僕自身、今では「え、関西人なの!?」と東京生まれに勘違いされるレベルです。
「自分は標準語が話せないかも」と不安な方もまずは安心して、この記事を読み進めてみてください。
この記事では「地方出身の声優志望者向け」に方言・訛りの直し方、標準語を習得する方法を詳しく解説します。
- 声優になるなら、標準語は必須
- 方言、訛りを直す3つの方法
- 最速で標準語をマスターするなら『東京で語学留学』
この記事を読めば「方言・訛りのせいで声優になれないかも」という不安を全て解消できます。
声優になるなら、標準語は必須
標準語の習得は、声優になるためには絶対に避けて通れない道です。
標準語を使いこなせない人が声優になることは厳しいでしょう。
その理由は、アニメや外画のアフレコやナレーションが標準語で収録されているからです。
なので、大前提として標準語が話せるをクリアする必要があります。
このように標準語の習得は必須なので、当然、養成所や専門学校でも標準語を習得するレッスンが行われています。
しかし、養成所は週1回などとレッスンの回数が少なく、ガッツリと標準語の勉強をやらない養成所が多いです。
初めの1回か2回ほど標準語のレッスンをして、「あとは自主練習で頑張りましょう」といったスタンスの養成所がほとんどだと思います。
そもそも関東出身の方からすれば、標準語は物心がついた頃から習得しているわけですから、標準語のレッスンをする必要は基本的に無いんですよね・・。
なので、養成所全体で考えると、標準語のレッスンの優先順位が下がるのは仕方がないことといえます。
しかし、地方出身者からすると、ものすごく困ります。
養成所は標準語や演技の勉強を習う場所と思っていた方からすると、標準語のレッスンを少しして「あとは自主練です」と言われても放り出された感がハンパないです。
結果、「演技もむずかしいけど、そもそも標準語が満足に話せない」と焦ってしまう地方出身者が続出するのは養成所あるあるです。
養成所から本格的に声優の勉強を始めようと考えている方は、このように想定しておくことをオススメします。
結構な割合の方が、一年通して標準語の勉強をすると勘違いしているので。
僕自身は、週5日レッスンがある専門学校で声優の勉強を始めたので、標準語のレッスンも豊富でした。
ぶっちゃけ、センスのなかった僕が養成所で勉強を始めていたら、標準語の習得が相当悲惨なことになっていたと思います。
(養成所からスタートすることを否定しているわけではありません。あくまで僕の場合です)
なので、こういった状態に陥らないためにも、地方出身の方は声優を目指すと決めたら、早めに標準語の勉強を開始すべきです。
方言、訛りを直す3つの方法
養成所では標準語のレッスンがあまり多くないと解説しました。
なので、それを補う自主練習は必須です。
その際にオススメの方言・訛りを直して、標準語を話せるようになる練習方法を3つ紹介します。
①アクセント辞典を買う
標準語を習得するために必須のアイテムがあります。
それが日本語のアクセントを網羅した「アクセント辞典」というものです。
NHK日本語発音アクセント新辞典
標準語習得に困っている地方出身者は絶対に入手しましょう。
声優は一人一冊、必ず持っています。
といっても、そもそもアクセントという言葉になじみがない方も多いでしょう。
日本語のアクセントとは、一般的にイントネーションと呼ばれているものと思っていただいて構いません。
正しい意味では、
- アクセント
単語ごとに決まった音の高さの動き
- イントネーション
文章全体の音の高低の動き(文章全体の抑揚)
という違いがあります。
具体的な例で説明してみます。
「今の喋り方、イントネーションが変だよ」は正しいですが、「雨のイントネーションが変だよ」は誤用です。
この場合は「雨のアクセントが変だよ」と言うのが正しいです。
声優やアナウンサー業界ではアクセントとイントネーションを正しい意味で使い分けています。
声優の業界用語みたいなものなので、声優を目指す方もアクセントとイントネーションの違いには敏感になっておきましょう。
話を戻しますが、標準語を習得することがむずかしい原因のほとんどがアクセントによるものです。
「方言・訛りを直そう」といいますが、声優志望者が方言に困る機会はほぼありません。
なぜなら、声優は用意されたセリフや原稿を読むことが仕事だからです。
用意された台本・原稿は標準語で書かれています。
それをその通りに読めば、方言を言うことは絶対にありません。
「おかしいだろ。俺にはアリバイがあったはずだ」
このセリフを言う際に、訛ることはあっても、
「なんでやねん。俺にはアリバイがあったやんけ」
と方言に変換して、読んでしまう方はいませんよね。
たとえば、自分で言葉を考えて話す必要があるセールスマンの方などは方言が出ると困る場面があります。
しかし、意外かもしれませんが、声優が方言に困る機会ってほぼありません。
困らされるのは「訛り」、つまりアクセントの違いです。
雨と飴はおなじ「あめ」と読む言葉ですが、アクセントは違います。
そして地方の言葉だと、このアクセントが標準語と違うことがほとんどです。
僕の育った関西では、雨のアクセントも、飴のアクセントも標準語と違います。
頭では理解しているつもりでも、実際、めちゃくちゃ混乱します。
そういった時に頭の整理を助けてくれるのがアクセント辞典です。
若者ことばなどでなければ、ほとんどの言葉の標準語アクセントを網羅しています。
標準語の勉強をする際の必需品です。
実際にアクセント辞典を購入する場合は、
- NHKから出版されている「日本語発音アクセント新辞典」
- 三省堂出版から出版されている「新明解日本語アクセント辞典」
の二冊がメジャーですので、どちらかを購入すれば間違いないと思います。
「紙の辞書は重たくて、持ち運びに不便だな」という方は、今の時代だと電子書籍で購入するのもオススメです。
他には、アクセント辞典が収録されている電子辞書もオススメです。
僕自身は、紙の辞書と電子辞書を使い分けています。
②テレビでアナウンサーやナレーターの言葉を注意して聴く
標準語の勉強を自習していた時に困ったことがありました。
というのも、標準語アクセントの正しい音の高低を自分では再現できなかったのです。
辞書で正しいアクセントを調べるまではできても、それを実際に再現する能力がない。
もしくは再現できても、本当に再現できているかを自分で判断できなかったのです。
この原因は「耳が悪かった」。これに尽きると思います。
当時の僕は耳で聞いた音が、どういったアクセントの種類なのかを正しく判断できる能力が培われていなかったのです。
そんな状態では、標準語を習得するスピードはどうしたって遅くなってしまいます。
これを解決するには、耳を鍛えるしかありません。
つまり、正しいアクセントを聞く経験を反復することが必要なのです。
その際にオススメするのが、テレビのニュース番組を聴くことです。
ニュース番組では、アナウンサーやレポーター、ナレーターなどが標準語で番組を進行しています。
しかも、正確にニュースの情報を伝えるために、正しい日本語のアクセントやキレイな発声で話すことを意識するように徹底しています。
つまり、正しい標準語に触れたいときに、素晴らしい手本になってくれるのです。
とくに、NHKのアナウンサーは正確な日本語のアクセントを徹底しています。
正確な標準語を聴きたいときには、NHKのニュースを観ることがオススメです。
ちなみに、ニュース番組や情報番組ってローカルのものがありますよね。
標準語の勉強で聴く際には、ローカルの番組は方言を織り交ぜている可能性があるので、選択肢から外す方が良いです。
③標準語を話せる人に確認してもらう
上で述べた通り、標準語の勉強で一番困ったのは、自分が標準語を話せているのか、自分自身で判断できなかったことです。
その際に、僕は標準語に理解がある友人や専門学校の講師に協力してもらっていました。
方法としては単純で、自分の話した言葉が標準語アクセントか判断してもらい、間違っていた場合には正しいアクセントをその場で言ってもらい復唱するといったものです。
やはりお手本が身近にいると、習得速度も速くなります。
身の回りで標準語を話せる方を見つけて、手伝ってもらうと習得効率が上がりますよ。
周りに標準語を話せる方がいない場合には、電子辞書やアクセント辞典のアプリに音声ガイドが収録されているので、それを手本にすることをオススメします。
最速で標準語をマスターするなら『東京で語学留学』
暴論に聞こえるかもしれませんが、標準語を最速で覚えたいなら東京に上京しましょう。
訛りを直す方法でも言いましたが、標準語を話せる人に確認してもらうのが手っ取り早いです。
しかし、地方だと身近に標準語をしっかりと話せる人がいない場合も多いですよね。
それと比べると、当たり前ですが、東京では標準語が街中にあふれかえっています。
僕自身、東京に住む前から専門学校で標準語の勉強をしていたとはいえ、上京して半年もしない頃には方言・訛りが完全に抜けていました。
詳細に話すと、関西の専門学校で1年が経過した頃には、ぶっちゃけ猛勉強のおかげでほぼ訛りは抜けていたと思います。
しかし、気を抜いて会話していると、訛りが出る場面もあり、標準語を完全に習得できたかといわれれば疑問が残る状態でした。
なので、上京直後は「自分の標準語が通用するのか?」と心配だったのを覚えています。
事実、東京で初期に知り合った方に「もしかして関西の人?」と見抜かれることもあり、そのときは結構ショックでした。
ところが、そこから標準語習得の勉強内容を大きく変えたわけでもないのに、半年も経たずに標準語が完璧に話せるようになっていました。
この理由は、東京という標準語にあふれた環境に身を置いたことだと思っています。
僕は標準語を習得するセンスが皆無でした。これは間違いありません。
しかし、そんな僕でもいつの間にか標準語が身につく環境なのです。
そもそも、地方に住んでいると、日常で使う言葉のほとんどが方言になってしまいます。
家族や友人との会話は方言ですし、街中や電車・バスの中でも地方の言葉ばかりです。
そんな環境に身を置けば、標準語の勉強を一生懸命やったところで効果が薄くなるのは当然でしょう。
標準語の勉強を1日2時間欠かさずにやったとしても、日常生活を方言で過ごせば、1日のほとんどを方言で過ごしたことになってしまいます。
この状況が方言・訛りを直しやすい環境だとは到底思えません。
そして厄介なことに、この問題を解決しようにも「勉強時間を伸ばす」だけでは根本的な問題解決にはなりません。
こういった場合に外国語の習得であれば、語学留学という選択肢が出てくると思います。
同じように、標準語を習得する場合でも環境を移すことは効果的です。
東京なら周りの人間は標準語で会話していますし、自分が会話するときも標準語で話す機会が圧倒的に多いです。
そういった環境に身を置いていれば、24時間全てが練習の時間になるといっても過言ではありません。
このような理由から、東京へ語学留学に行くことをオススメするのです。
「標準語を習得する」という目的意識をもって東京に移り住めば、誰でも標準語を習得することができるでしょう。
東京に移り住むのがむずかしい場合・・
「標準語を習得するためだけに、わざわざ東京に移り住めない」という意見もあると思います。
しかし、そもそもアニメや外画の仕事がしたいのであれば、絶対に東京に住まなければいけません。
なぜなら、アニメや外画のアフレコは東京のスタジオで収録されているからです。
地方からいちいち収録ごとに出向いていては、金銭的にもスケジュール的にも厳しいものがあります。
声優を目指すなら、どこかのタイミングで東京移住を考えることは必須です。
なので、標準語を習得するためだけにわざわざ上京する必要はありません。
声優として、生活の基盤を東京に移した段階から、語学留学を開始すればいいのです。
(養成所や専門学校に入学のタイミングや事務所に所属したタイミングなど)
そうすれば、1年もかからずに方言・訛りが抜けて、標準語をマスターできるでしょう。
結局、この記事でなにが言いたいのかというと、地方出身の方でも「自分は標準語が話せないかも」と過度に心配する必要はないということです。
標準語の習得は、声優志望には大きな壁のように感じますが、案外知らぬ間にクリアできてしまいます。
「養成所で標準語のレッスンがなくて上京組が焦る」みたいな話もしましたが、なんだかんだ半年も経過すれば、みんな標準語に染まっていきます。
早いタイミングから上京できない事情がある方も、アクセント辞典などを使って勉強していれば、上京後1年もかからずに標準語を話せるあなたになっているはずです。
(センスのある方なら、地方に住んでいながら標準語を習得することも容易にできるでしょう)
まとめ
「方言や訛りが心配だ」と感じている地方出身者は多くいるでしょう。
しかし、標準語を習得することはむずかしくても、センスの有無に関係なく、努力し続ければ必ず手に入るものだと僕は思っています。
標準語を覚えるセンスが皆無だった僕でも使いこなせるようになりましたし、事務所に所属して声優になることができました。
方言・訛りは地方出身の声優志望者にとって、大きな悩みの一つですが、過度に不安に感じる必要は絶対にありません。
誰でも必ず習得できます。それが早いか遅いかの違いだけです。
それにアクセントの勉強をすることは、決して遠回りではありません。
関東育ちで物心がついた頃から標準語が話せる人は、レッスンを受けなくても標準語を習得できていると説明しました。
しかし、標準語圏の人が、正しいアクセントを読めない場合もあるんです。
それは難解な言葉などを発音するときです。
日常会話で使わない言葉だと、脳内にストックされていないので、間違ったアクセントで読んでしまう場合があります。
逆に、地方出身者はこういったときに間違いにくいです。
なぜなら、アクセントの勉強をしっかりとして、日本語のアクセントの法則などに詳しいからです。
初見の言葉でも、法則に基づいて正しいアクセントを導き出せてしまいます。
(もちろん、知らない言葉に遭遇したときにはアクセント辞典で必ず調べるようにしましょう)
初見の原稿をすぐに読まなければいけないときなどに結構助かります。
標準語がもともと話せる方は、悪く言ってしまうと「感覚派」です。
感覚で理解できる範疇を超えると、途端に理解が追い付かなくなります。
結局、日本人が日本語を勉強したわけでもないのに話せてしまうのと同じで、標準語を勉強せずとも話せている、ただそれだけなのです。
なので、関東住みの方でもアクセントや標準語の勉強をやる価値は十分にあります。
地方出身者も「標準語が話せる人はやらなくていい勉強をやらなければいけない」と悲観する必要はないのです。
日本語に詳しくなることは、日本語を扱う仕事をする上で必ず役に立ちます。
ぶっちゃけ、標準語をもともと話せる方はそんなに熱心にアクセントの勉強をしません。
なので、地方出身の方は「アクセントを勉強するキッカケが手に入った」とポジティブに受け取っておくぐらいが良いでしょう。
標準語やアクセントの勉強は一切ムダになりませんよ。
「声優の勉強のために上京すべきか?」と考えている方に向けて、東京の専門学校と地方の専門学校それぞれで学ぶメリット・デメリットを紹介した記事があります。
こちらの記事も東京に移り住むタイミングを考えるうえで参考になりますので、よろしければご覧ください。
他に同音異義語をまとめた記事もありますので、アクセントの練習をする際に役立ててください。